いつもは漫画ばかり読んでいるのですが、十数年ぶりに小説を手にすることに。
たまたま離婚した時期に「女のいない男たち」というタイトルが、なんとなく今の自分に合っているような気がしたので。発売日に偶然書店で見かけたのですが、その日は購入することはなく、気になったので翌日に購入。
購入したのは作者が村上春樹だからとかいうわけでなく、ただタイトルが「女のいない男たち」だったから。なんせ「ノルウェーの森」すら読んだことがない自分が、まさか小説を購入してまで読むとは。
内容は、なかなかヘヴィー。どの話も女が浮気する、裏切る。読むのが苦しくなる時もあったけど、共感できることも多数アリ。
自分も女のいない男たちなので、何とも言えない後読感。
第一話ドライブ・マイ・カーの感想。
主人公の家福が、妻の浮気相手と仲良くなるという、とんでもない自虐的な行為がはじめは理解できなかったが、浮気相手を懲らしめてやりたいという気持ちはよく解る。
それを遂行しなかった家福と、遂行しなかったことに胸をなでおろすドライバーのみさき。みさきには女という観点から、家福の妻の気持ちが少しは理解できたのだろうか・・
そして、それを家福に伝え、家福はすんなりと受け止められたのだろうか。
自分の妻が隠していること（ほかの男と寝た）を、実は知っていて、それを知らないふりをすることが、どれほど辛いことだったのか、考えると苦しくなる。
結果として、妻とは死別してしまうのが、そのまま生きていれば、いつか家福の心は破綻していたはず。死別することで家福の精神は保たれた気がしてならない。
どうして他の男と寝たのか？聞けばよかったと後悔する家福。聞いたところで本当の答えなんて出ないし、聞いたところで信じられるはずもない。
それならいっそ、死別したことは一番最良の別れだったと勝手に思った。
家福はそんなことは決して思っておらず、死んだ後も妻を愛している。
奥さんはその人に心惹かれていたのではない だから寝た 女の人にはそういうところがある
みさきの言葉が刺さる。だからといって理解はできないが。
男でも女でも、浮気をする奴はたくさんいる。しない奴の方が少ないかも。浮気しない奴は、ただチャンスが無いだけなのかも。ただ、自分は浮気なんて絶対に認めない。本気になる覚悟もないのにする浮気は、パートナーの心を引き裂く暴力と同じ。そんなこともわからない人間が多すぎて、生きるのが辛くなる時もあるけど、分かり合える人もいるはずなので、自分の生き方を探しながら、ゆっくり前を向いて進んでいきたい。
