女のいない男たち シェエラザード 感想

ボクが女のいない男たちなので、そのボクが村上春樹さんの「女のいない男たち」を読んで感想を書き込むのは、なんだか滑稽で面白い気がする。

離婚が決まって、別居して、離婚届を出す直前に、書店でプラカードを持ちスーツを来た、おそらく出版社の社員さんが「村上春樹の短編小説、本日発売です!」と声を張り上げていた。

手にしたプラカードが逆さまで、注意してあげようか迷ったが辞めた。開店直後のショッピングモールの大型書店。平日ということもあって人もまばらなのに、頑張って販促活動をしている。逆さまのプラカードを持って。

その日は購入することなく素通りしたのだが、翌日、なんとなくタイトルが気になって購入することに。

小説を購入するのは、実に数十年ぶりだ。そして、読み始めてすぐに、変な気持ちになった。登場する女たちが、すべからくみな平気で男を裏切る。

人を裏切るのに男も女もないのは既知だが、今のタイミングでこの内容は笑えた。

4話目、シェエラザードの感想

1話目から3話目までは、ノンフィクションでもおかしくないような、なんともリアリティのある現実的な物語だったのが、4話目のシェエラザードから一転、空想上の物語のようなお話に。

物語の前後がないのが、読み手の想像力を掻き立てるのだが、主人公がどうして「ハウス」と呼ばれる部屋に閉じ込められているのか?はたまた引きこもっているのか?誰か(組織?)の意志なのか、それとも自ら進んでなのか。

そして、その世話係の女性が、自ら性的な処理をかって出ているのが自分の意志なのか?誰かの差金なのか?

いろいろ考えても仕方ないので読み進めていくと、なんとも官能的な物語でした。平凡な主婦が性的な処理を事務的(?)に行う傍ら、みずからの過去の出来事を思い返し、性的な興奮が呼び起こされ、結果として二人で快感の頂点に登り詰めるという。エロい。

まあ、結局、この話もパートナーがいる主婦である女性が、別の男性と体の関係を平気でもつという、女性不信を助長する物語です。

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